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旅を愛しそこで出会う様々な感動が

創作へのインスピレーション

​絵画に込められたメッセージ ~ミッシェル・バテュ~

静謐な作品に込められた力強いメッセージ

ミッシェル・バテュ画伯はよく「感動が消えてしまわないうちに作品に描いてしまいたい」とおっしゃいます。
たとえば西インド諸島に浮かぶドミニカの海辺の街では、真っ白な砂浜と澄み渡った青い海に。密林に覆われたアマゾン流域では、むせかえるような木々の群生や動物たちの豊かな営みに。そしてアフリカでは、濃い空の青や強烈な太陽光、乾いた空気の匂いに―――。
旅を愛し、訪れる先々で出会うこうしたさまざまな光景に圧倒され、大いなるインスピレーションを受けるとき、画伯のなかに作品誕生への萌芽が始まるのです。
ただしそれは単なる写生ではなく、旅先での心象風景を描いただけのものでもありません。世界各地で出会った感動的な光景を作品にしていくとき、ミッシェル・バテュ画伯はそこに私たちに伝えたいさまざまなメッセージを込めていきます。作品が描かれた場所やタイミングによって、それぞれのメッセージは異なりますが、ミッシェル・バテュ画伯の作品に込められたものを読み解くためのヒントを、ここで少しだけお教えしましょう。

美しい自然から受ける感動こそ観る人に何より伝えたいこと

たとえば、作品のなかでも最も大きな部分を占める「空」は、いうまでもなくきわめて重要な作品のモチーフであり、ミッシェル・バテュ画伯にとっては自由のシンボルです。逆に、不自由さの象徴として取り入れられることが多いのが「壁」。ほかには、「船」は旅を、「ヤシの木」は遠い夢を、「果物」は感覚的な欲望や自然をあらわすものとして描き入れることが多いと画伯はおっしゃいます。
このことを参考にしながら、改めてミッシェル・バテュ画伯の作品の数々を眺めてみると、これまでとは異なるさまざまなメッセージを読み取ることができるかもしれません。
ときにミッシェル・バテュ画伯は、もっと強いメッセージを作品に込めることを忘れません。
「最近の私の心を痛めるのは、悪化する一方の世界の情勢です。各地で紛争やテロが後を絶たず、環境破壊も進んでいる。大きな悲しみを覚えることばかりです」というミッシェル・バテュ画伯。だからこそ、目に入ってきた光景をモチーフに作品を描くといっても、汚いものはそこから取り除き、自然の素晴らしさを強調するようにしているとミッシェル・バテュ画伯はおっしゃいます。「美しい自然から受ける感動こそが一番大きなものであり、それを壊すことがあってはならないという思いを込めているからなんです。」

旅先でもパリのアトリエでも尽きることのない創作への感性

ミッシェル・バテュ画伯の旅好きは幼いころに始まり、少女時代にはご家族とともにモロッコ、ギリシャ、トルコをはじめさまざまな国を訪れています。こうして育まれた豊かな感受性が、画伯の創作スタイルにも大きな影響を与えているのは間違いありません。
初めてアジアを訪れたのは1970年の大阪万博のとき。在日フランス大使館が優れた建築家を万博に招待したなかに、ミッシェル・バテュ画伯の父上であるジャン・バテュ氏が選ばれ、母上の代理としてミッシェル・バテュ画伯が訪日に同行されたのでした。このときは東京や京都のほか、香港やバンコクにも立ち寄り、エキゾチックなアジアの街々の雰囲気に大きな影響を受けたといいます。
ご夫君でありカメラマンであるジョホワ・パリゾ氏との共通の趣味も旅行。ご一緒に毎年どこかに旅をしては新たなインスピレーションを得ているというミッシェル・バテュ画伯。ギリシャやアブダビ、タイ、ミャンマー・・・行く先々で撮られたショットのごく一部をご紹介しましょう。
「自然」を愛する画家であるミシェル・バテュ画伯のアトリエは、パリのアパルトマンにあります。12階にあるアトリエの大きな窓からは、いつも広い空とパリの街を望むことができ、まさに「パリの空の真下にあるアトリエ」です。建物は、建築家であったお父様が設計したもので、広々としたテラスバルコニーは、ときにお友達を招いてのホームパーティーの場にもなっています。
長い時間をかけ、お気に入りのインテリアや植物、小物などを配して自分好みの空間につくりあげられてきた居室やアトリエは、大都会にありながら、繊細な自然のうつろいを肌で感じられる場所。こうした空間で生み出されるからこを、画伯の作品は自然との一体感を失うことなく、常にみずみずしい感性に満たされているのです。
 

ギリシャにて

タイにて

アブダビにて

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